てんかんとは、ずっと繰り返される発作を起こす脳疾患のことです。神経の伝達に異常が発生するもので、その規模や障害レベルによって症状は軽度から重度まで様々です。犬での発生率は0.5-2.3%(1-2%)です。生後6ヶ月過ぎてから出てくることが多く、初めて発作が起きた年齢が5歳以下だと先天的、5歳以上だと後天的と判断します。
原因
脳腫瘍や脳炎、脳梗塞、水頭症、ウィルス感染など原因がはっきりしているもの→症候性てんかん
原因がはっきりしないもの。脳の電気活動の異常。→特発性てんかん。遺伝が疑われています。
てんかん以外でも痙攣を起こす疾患があり、区別する必要があります。代謝性疾患、栄養障害、炎症性疾患、寄生虫感染、中毒、外傷、血管の梗塞(血栓症等)、不整脈などがあります。
症状
- 手足を突っ張って痙攣することを繰り返す(全般発作)。大体1~2分程度続く。
- 他に突然固まって動かなくなる、震えている、前肢を挙げてしまう、何かを追っている(飛んでいるハエを咬
むような仕草)、何かを見つめている、突然襲ってくる、頻繁な舌なめずり、お腹が痛そうで嘔吐する、よだれを垂らすなど。この場合、意識があるように見えることが多い。
- 発作を起こす前に、前徴がある場合もある。(耳を後ろに引く、よだれを垂らす、しゃっくり、瞳孔散大等)
- 発作が起きやすいのは睡眠中や気圧が低い時、興奮した日など。
- 発作の頻度や程度は、年々ひどくなっていくことがあるが、逆に減ることもある。
- てんかんを繰り返すと閾値低くなる(発作を起こしやすくなる)。
- 発作により脳の神経細胞死が生じる
治療開始の目安
投薬により、必ずしも発作がなくなるわけではないことや、薬の副作用などを考慮し、以下の要領で判断することが多いです。
- 発作の起きる間隔が3ヶ月で2回以上(→発作の間隔が6週間以内)なら投薬治療を開始。
- 発作の起きる間隔が3ヶ月で2回以下(→発作の間隔が6週間以上)なら基本的には(毎日の)投薬は行わない。
- 発作の起きる間隔が6週間以上でも、一回の発作の時間が5分以上(重積)なら投薬治療を開始。
- 1日2回以上の発作を起こした時(群発)、投薬治療を開始。
抗てんかん薬による治療の反応
約4割は薬で完全に押さえられ、約3割は症状が軽くなりますが、約3割は薬が効かず、コントロールが困難です。抗けいれん薬による治療中、投薬を忘れたり急に断薬するとその後に発作が起きる(離脱発作)ことがあるので、適切に投薬することが重要です。抗てんかん薬の影響は、薬の種類によって様々です。
例えば、鎮静、運動失調、沈鬱、これらは2~3週間で自然消失することが多いです。長期間持続する副作用として、多食、多飲多尿、体重増加があり、これらの症状は投薬中は持続する可能性が高いです。肝臓への負担も注意が必要となります。
1年間、発作がなければ、抗てんかん薬の減量を開始しますが、減薬中に再発してしまうこともあります。稀に、避妊手術や他の疾患、外傷などをきっかけに、また老化に伴い、治癒するケースがあります(10~15%位の割合)。ですが、減薬/休薬してみないと判断できないため、減薬/休薬の際には発作が再発する心構えも必要となります。
※発作が起きてしまった時の対処
発作中は、転落やぶつけたりしないように注意してください。状況により抗けいれん薬の座薬を使用します。特に5分以上発作が持続する場合や一日のうちに何度も繰り返す場合は緊急事態となります。
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