犬・猫の慢性腎臓病(CKD)

犬・猫の慢性腎臓病(CKD)

よく見られる症状として、飲水量の増加、尿量の増加があり、それがきっかけで病気がわかることがあります。他にも痩せてきた、食欲不振、嘔吐、貧血などがあります。

診断

血液検査、尿検査、超音波検査などを行います。

治療

点滴、内服薬、食餌療法が中心となります。残っている腎臓の機能をなるべく損なわないようにすることが治療となり、慢性に悪化してきた腎臓を元に戻すことは出来ません。

CKDの定義

①少なくとも3ヶ月間存在する腎ダメージ(組織、血液、尿検査、画像検査から証明されるもの)

又は

②少なくとも3ヶ月間存在するGFR(正常から50%以上の低下)の低下を示すもの

原因

犬では糸球体疾患が多い。犬ではアミロイドーシスも重度な蛋白尿を生じる。

感染症: 犬糸状虫症、子宮蓄膿症、細菌性心内膜炎、バベシア症、ライム病、エールリッヒア症、バルトネラ症、アナプラズマ症、ヘパトゾーン症、リーシュマニア症、ロッキー山紅斑熱など

腫瘍性:リンパ球性白血病、リンパ腫など

炎症性:膵炎、肝炎、多発性関節炎、IBD(炎症性腸疾患)、SLE(全身性エリテマトーデス)、免疫介在性溶血性貧血など

内分泌性:副腎皮質機能亢進症、褐色細胞腫、アルドステロン症、糖尿病など

薬剤性:ステロイド、フェニルプロパノール、スルファジアジン(スルファチアジン?)など

遺伝性:サモエド、イングリッシュコッカースパニエル、ソフトコーティッド・ウィートンテリア、バーニーズ・マウンテンドッグなど

猫では慢性間質性腎炎が多い。

stage2以降になってもUPCがすぐには上昇しない症例も多いがUPCの上昇が見られると急激に悪化するため、定期的にUPCを測定し、症状が認められれば適切に対処する必要がある。

糸球体疾患は猫では少ないが、原因としてはFIPウィルスやFeLVによる感染症、リンパ腫や肥満細胞腫などによる腫瘍性、全身性エリテマトーデスなどによる自己免疫性、甲状腺機能亢進症や糖尿病などによる内分泌性、原因の分からない特発性などが挙げられている。

尿蛋白:犬は多くで見られる、猫には殆ど見られない。

治療

蛋白尿が2週間間隔で3回以上連続して確認されれば抗蛋白尿療法を行う。

①UPCが0.5~1.0:定期的にUPCを測定し増加してこないかモニタリングする。

②UPCが1.0~2.0:蛋白尿の基礎疾患の徹底的な検索を行い、基礎疾患が見つかればその基礎

疾患の治療を開始し、見つからなければ更にモニタリングを継続する。

③UPC>2.0: 基礎疾患の如何に関わらず、蛋白尿を低下させる標準療法を開始する。

犬において2013年に糸球体疾患の管理のための臨床ガイドライン(改)

RAAS抑制療法(ACEI、ARB等)

食餌療法:低蛋白かつn-3脂肪酸を補充した食餌の給与。

抗血栓療法(重度の低蛋白血症による血栓を予防する為:血漿Alb<2.0になった場合。低用量アスピリン、クロピドグレルなど)

抗高血圧療法

輸液及び利尿剤療法

標準療法開始にも関わらず、UPCの増加が進行性で、CKDステージ3までの症例では、腎生検の実施が推奨される。その結果、活動性の免疫複合体介在性糸球体腎炎と診断されれば、免疫抑制剤投与が考慮される。また、標準療法に反応しない重度な症例は、何らかの理由で腎生検が行えなくでも、免疫抑制剤投与を考慮することも推奨されている。

ステージ CREA 所見 治療
      犬   猫         犬     猫  
  ステージ1   <1.4   <1.6 非窒素血症、尿濃縮能低下、腎臓の形態的異常、蛋白尿。 1. ACEI 2. ACEIを2倍量に増量する 3.重度高血圧の場合、ACEIとCCBを併用する 4.ACEI、CCB更に必要であればARB±ヒドララジンを併用する。 ・腎臓病用の食餌療法を行う 1.Ca拮抗薬(CCB:アムロジピンなど) 2.CCBを2倍量に増量する 3.ACEI又はARBとCCBを併用する ・腎臓病用の食餌療法を行う
  ステージ2   1.4~2.0 1.6~2.8   非窒素血症~軽度腎性窒素血症。臨床症状は欠如~軽度。 1. ACEI 2. ACEIを2倍量に増量する 3.重度高血圧の場合、ACEIとCCBを併用する 4.ACEI、CCB更に必要であればARB±ヒドララジンを併用する。 ・血清Alb<2.0ならアスピリン(1-5mg/kg/sid) ・腎臓病用の食餌療法を行う(それでも  P>4.6なら吸着剤、カルシトリオール:1.5-3.5ng/kgを考慮) 1.Ca拮抗薬(CCB:アムロジピンなど) 2.CCBを2倍量に増量する 3.ACEI又はARBとCCBを併用する ・腎臓病用の食餌療法を行う
ステージ3   2.1~5.0   2.9~5.0   軽度~中等度腎性窒素血症。様々な臨床症状。 1. ACEI 2. ACEIを2倍量に増量する 3.重度高血圧の場合、ACEIとCCBを併用する 4.ACEI、CCB更に必要であればARB±ヒドララジンを併用する。 ・血清Alb<2.0ならアスピリン(1-5mg/kg/sid) ・腎臓病用の食餌療法を行う(それでもP>4.6なら吸着剤、カルシトリオール:1.5-3.5ng/kgを考慮) ・必要に応じて制吐剤、食欲刺激剤、(皮下)点滴 ・PCV<20%でQOLに影響、ネスプ使用。 1.Ca拮抗薬(CCB:アムロジピンなど) 2.CCBを2倍量に増量する 3.ACEI又はARBとCCBを併用する ・腎臓病用の食餌療法を行う ・必要に応じて制吐剤、食欲刺激剤、点滴 ・PCV<20%でQOLに影響、ネスプ使用。
ステージ4 >5 >5.0   重度腎性窒素血症(→末期腎不全)最終的には透析か腎移 植が必要。   1. ACEI 2. ACEIを2倍量に増量する 3.重度高血圧の場合、ACEIとCCBを併用する 4.ACEI、CCB更に必要であればARB±ヒドララジンを併用する。 ・血清Alb<2.0ならアスピリン(1-5mg/kg/sid) ・腎臓病用の食餌療法を行う(それでもP>4.6なら吸着剤、カルシトリオール:1.5-3.5ng/kgを考慮) ・必要に応じて制吐剤、食欲刺激剤、(皮下)点滴 ・PCV<20%でQOLに影響、ネスプ使用。 ・栄養チューブ、透析、移植 1.Ca拮抗薬(CCB:アムロジピンなど) 2.CCBを2倍量に増量する 3.ACEI又はARBとCCBを併用する ・腎臓病用の食餌療法を行う ・Pの摂取の制限 ・必要に応じて制吐剤、食欲刺激剤、)点滴 ・PCV<20%でQOLに影響、ネスプ使用。 ・栄養チューブ、透析、移植

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